離岸流が釣れるポイントであるというのは、サーフで釣りをしてきた人に言うと「当たり前だろ」と逆にお叱りを受けるかもしれません。
岸から沖の方向へ向かっていく離岸流は、危険な現象とも捉えられがちですが、釣りにおいては適度な環境変化をもたらす大事な存在です。
各種雑誌や書籍で様々な見つけ方が紹介されていますが、地形によって見つけ方が異なりますので注意してください。
離岸流の発生する要因
サーフでは沖からどんどん波が押し寄せています。繰り返しの波です。
浜へ広がった海水はその後海へ戻ろうとしますが、その頃にはもう次の波が打ち寄せてきます。
こうなると海水は行き場を失うため、ある程度まとまって波の連続攻撃を突破しようとします。
その突破口こそが離岸流です。
誤解が生じる可能性がありますので、ここではあえて文章だけで説明しました。
最も確実な発見方法
まとまった沖方向の流れは海底に轍のような溝を残します。小さな魚はここを通って沖方向へ戻ろうとするため、この溝はちょっとした生物の宝庫になります。しかし残念ながらその先では、ヒラメやマゴチが口を開けて待っているのです。笑
この離岸流のつくる溝がすぐに見つかればいいのですが、直接海の底を覗けるとは限りません。
そう考えると最も確実な方法は、海面を確認することでしょう。
そこだけ明らかにゴミや泡が沖の方へ流れていれば離岸流と見て間違いないです。
ちなみに仕掛けを投入して水深を探ったり、引き抵抗を確認する方法もありますが、自分の感覚に自信のない方はできれば目で見て確かめたいものですよね。
こんなサーフでは離岸流が見つけやすい!
①大規模である
②沖に支配的な沿岸流がある(黒潮など)
③遠浅の砂浜
以上を満たしているサーフは比較的簡単に離岸流が見つかります。
なぜこのような砂浜は離岸流を見つけやすいかと言うと、そもそも汀線(ショアライン)がまっすぐな部分が長く、波の入る角度が一定になるため、離岸流のある場所とない場所のメリハリがはっきりつきやすいからです。
場所の移り変わりの少ない「固定式離岸流」の傾向があります。
また上記の条件に関係なく、ヘッドランド(人工岬)がある場所は、陸繋島とトロンボの原理がはたらきますので、高確率で離岸流が発生しています。
しかし離岸流を見つけるのが容易なサーフばかりではありません。
固定式ではなく、すぐに移動してしまう離岸流だって多く存在します。そんなものはどうやって探し出せばよいのでしょうか?
砂浜と砂利浜で見つけ方が違う!?
海面の様子を確認しても見つからない場合、陸地側に形成されたサーフの姿形をヒントに離岸流を見出す必要があります。
特にナイトサーフなんかでは浜の地形から読み解かないといけないですよね。
しかし気を付けてほしいのは、サーフの種類によって離岸流の見つけ方が異なるという点です。
詳しくはこちらの記事でも記載していますが、流入する砂と出ていく砂の量の関係によって、サーフを構成する土の粒度が違ってきます。砂浜と砂利浜の違いです。
ではそれが離岸流にどう影響するか考えてみましょう。
砂浜の離岸流
砂浜は波が比較的穏やかなため、波は砂を堆積させる作用をもちます。
よって、流入する砂 > 出ていく砂 の関係が成り立ちます。
すごく簡単に図にするとこんな感じです。青い矢印は潮の流れと思ってください。
行き場をなくした海水は、ある場所で沖方向へ流れていきます。離岸流です。
この状態が続くと、波のぶつかる場所では砂が堆積していき、離岸流のある場所は堆積作用がないため砂は次第に沖へと流されていきます。
このように離岸流のある場所が凹むんです。
砂利浜の離岸流
これに対し砂利浜は勝手が違います。(一見砂浜でも、砂の粒径が大きいサーフは砂利浜寄りに考えてください。)
沖で波が立たず、海水のパワーが岸辺で一気に解放されるため、波はサーフの砂を浸食する作用をもちます。よって、流入する砂 < 出ていく砂 の関係が成り立ちます。
このように波の力が激しいのです。
砂浜と同様に、離岸流はどこかに必ず存在します。
この状態が続くと、波のぶつかる場所では陸地部分が浸食されていきます。
離岸流の部分も浸食作用を持ってはいますが、周囲の波よりもその力が弱いために、結果としてショアラインに歪みが生じるのです。
このように離岸流のある場所が突き出ます。一見すると離岸流の先が掘れているように思えませんが、少し沖に出れば浸食作用は離岸流の部分の方が強まりますから、多少なりとも掘れています。
よく「岸の部分が窪んでいるところが離岸流だ」と紹介してあるものを読みますが、これは誤りです。実際はサーフの特質によって異なるんです。

砂利浜サーフ、突き出た部分の先にわずかに生じる離岸流。ちなみに砂利浜ではワンド部分と岬部分が連なり、カスプを形成することも多々あります。
その他の判断要素(ゴミ、砂の固さなど)
他にも雑誌なんかで離岸流の様々な見つけ方が紹介されていますが、一体どの基準を信頼すればよいのでしょうか?
◆サーフにゴミが溜まっている場所は離岸流?
そういう傾向があるようにも思いますが、正直判断基準としては弱い気がします。
普通に打ち上げられて漂着するゴミも多いですし、ゴミは砂粒と違って密度に差があり、流れ方がまちまちになるからです。
◆砂や砂利が固い場所は離岸流?
粒径の小さい砂浜では判断基準になり得ると考えられます。原則として土は堆積部分よりも浸食部分の方が固くなる傾向にあるためです。
◆小砂利が見える場所は離岸流?
限定的ですがこれも砂浜でひとつの根拠になると思います。砂の下に砂利があるサーフの場合、削られた部分のみ砂利が露出するからです。
離岸流の見分け方まとめ
以上の内容をまとめると、
① 最も確実な方法は、海面の流れの確認をすること。
② 仕掛けを投入して手の感覚から探ることもできる。
③ ①②ができない場合、浜の地形を見る。砂浜は凹んだ場所、砂利浜は突き出た場所に注目する。
④ 砂浜では砂の固さや小砂利の分布もヒントになる。
離岸流の見つけ方は一筋縄ではいかないですが、これをマスターすれば必ず良い釣果につながると思います。ぜひ頭に入れてから釣り場へ向かって下さい!